不正咬合を引き起こす癖を口腔習癖といいます。
代表的なものとしては、舌癖、指しゃぶり、咬唇癖、口呼吸(口唇閉鎖不全)などがあります。
これらは上顎前突、開咬などの不正咬合を引き起こす原因となります。
舌癖について
舌の位置が常に下がっている状態(低位)、舌を前に突き出す動きなどの位置異常は
矯正治療中の歯の移動を妨げたり、矯正治療後の後戻りを起こす原因となります。
舌に跡がついていたり、嚥下時に顎先に緊張感が認められる場合は舌突出癖の可能性があります。開咬や上顎前突、上顎歯列の狭窄を引き起こします。
また、咀嚼、嚥下といった機能は乳幼児期に覚え始めて学童期に完成されていきます。そのため、もし学童期において舌癖が確認され、歯列、咬合への影響が確認された場合は、矯正による治療や筋機能訓練が必要となります。
指しゃぶりについて
乳幼児期の指しゃぶりは生理的な現象ですが、3から4才ごろまでに徐々になくなっていきます。しかしこの指しゃぶりがその後も続く場合、不正咬合の原因となる可能性があります。指しゃぶりで一番多いのは親指であり、またしゃぶり方も様々です。指しゃぶりがあると歯や顎に強い力が加わります。このときの力は矯正にて歯を移動させる力に比べて数倍大きな力です。その力によって上顎前突、開咬といった不正咬合を引き起こします。3から5才の間の時期では自然に減少していく傾向があるため経過観察となりますが、学童期においても指しゃぶりが認められる場合はやめることができるような働きかけを積極的に行うことが必要となります。
口呼吸について
鼻がよく詰まるといった鼻咽頭疾患がある場合、口呼吸を生じさせます。口呼吸は舌が下がる低位舌や口唇閉鎖不全による舌癖を生じさせ、狭窄歯列、開咬などの不正咬合を引き起こします。また口腔内が乾燥しやすいために歯肉炎やむし歯を引き起こしやすくなります。鼻咽喉疾患としては、慢性鼻炎、アレルギー性鼻炎、ポリーブ、副鼻腔炎などがあります。口腔習癖を改善するためにはこれらの疾患についての治療も必要となります。
鼻咽頭疾患がない場合は、口唇閉鎖不全を引き起こしている歯列や咬合を矯正治療や筋機能訓練で改善する必要があります。
口腔習癖は、口の周りの筋肉の不調和を引き起こして不正咬合を引き起こす原因となります。成長発育の面でも咬合、発音、顎の成長発育に影響を与えますので
適切な時期に指導、治療が必要となり、また矯正治療においては歯の移動にも影響を与え、治療後の後戻りの原因となりえるため非常に注意が必要とされます。
ユアサ矯正歯科