裏側矯正における発音への影響

ユアサ矯正歯科院長の湯浅です。

裏側矯正(リンガル矯正)は、歯の裏側にブラケットを装着して行う矯正治療です。目立たないため、矯正装置が見えることを避けたい人が選択します。しかし、裏側矯正にはいくつかの課題があり、そのひとつとして発音障害があります。今回は、裏側矯正による発音変化やその対処法などについて簡単に説明します。

裏側矯正と発音の関係

裏側矯正が発音に影響を与える主な理由は、発音時に装置が舌に直接接触するためです。歯の裏側に装置があると、前歯の裏に舌があたる音に影響を与え、正確に音を作ることが難しくなります。特に、日本語における「さ行」や「た行」、「ら行」、「だ行」といった音が影響を受けやすいとされています。これらの音は舌の動きが大きく関与しているため、装置があることで音が変わってしまう傾向があります。

発音障害の症状

一般的には以下のようなものが報告されています。

1.音のこもり:発音時に口の中で音がこもってしまい、聞き取りにくい音になることがあります。これは、装置により舌の動きが制限され、また装置の凸凹も空気の流れのスムーズさを妨げることによることが原因です。

2.舌足らずな発音:舌がブラケットに引っかかることで、はっきりとした発音ができなくなることがあります。

3.舌の疲労感:発音時に無意識に舌を避けようとするため、舌が疲れやすくなることがあります。これは舌の筋肉が過剰に働いてしまうためです。

発音障害への対処法

裏側矯正による発音障害は、時間の経過とともに改善することが多いですが、以下の対処法を試すことで、より早く慣れることがあります。

1.発音練習:発音が難しく感じる音を鏡を見ながら意識的に練習することが重要です。舌の位置や動きを意識できるようになります。

2.話すスピードの調整:ゆっくりとしたスピードで話すことで、発音が改善されやすくなります。

.舌の体操:舌の柔軟性を高め、舌の動きをスムーズにするために、簡単な舌のストレッチや体操を行うことも有効です。

最後に

裏側矯正による発音障害は、装置装着時から数週間にかけて発生することが多いですが、時間が経つにつれてほとんどの人が慣れていきます。また、適切な練習や対策を行うことで、発音障害を最小限に抑えることも可能です。もし発音に関して不安がある場合は、矯正医に相談しましょう。