こんにちは、ユアサ矯正歯科院長の湯浅です。
矯正用ブラケットは、患者の審美的な要望からプラスチック製やセラミック製が主流になりつつあります。近年、矯正用ワイヤーにおいても樹脂によるコーティングが施された審美ワイヤーが市販されています。審美ワイヤーとは、歯科矯正治療において美しい見た目を重視したワイヤーのことを指します。従来の矯正治療では、金属製のワイヤーが使われることが一般的でしたが、その銀色の目立つ外観は、見た目の問題から心理的な負担となることがありました。特に成人の矯正治療では、審美性の面で治療をためらう場合もあったと思います。このようなこともあり、治療中でも見た目を気にすることなく快適に生活できる審美ワイヤーが登場しました。
審美ワイヤーの特徴
審美ワイヤーは、通常の金属製ワイヤーに比べて目立ちにくいことが最大の特徴です。ワイヤー自体が白や透明に近い色でコーティングされており、歯の色に自然に馴染むデザインとなっています。これにより、笑ったときや話をしているときにも、矯正治療中であることがほとんど目立たなくなります。金属ワイヤーをコーティングしている材質はメーカーによって様々で、代表的なものとしてはエポキシ樹脂、テフロンという名で通っているフッ素重合体
そのほか特殊な組成で出来ているものや、金属表面に違う金属イオンを接合させるイオンプレーティングという手法でワイヤーに白さを出す方法が用いられたりしています。
また、コーティングにはセラミックやポリマーなど、歯に優しく、かつ耐久性の高い素材が使われることが多く、長期間使用しても変色しにくいような工夫がされています。
審美ワイヤーのメリット
1.見た目
最大のメリットは、目立ちにくいという点です。矯正中でも他人に気付かれることが少なく、特に仕事や人前での発表が多い方にとっては大きな魅力です。これにより、矯正治療へのハードルが低くなり、治療に進む方が増えていると思います。
2.装着感
従来の金属ワイヤーに比べて、コーティング方法によっては滑らかな表面を持つため、口内の不快感や口内炎のリスクが軽減される可能性があります。口の中の粘膜が敏感な人にとってはメリットになるでしょう。
3.治療効果
審美ワイヤーは見た目を重視しつつも、矯正治療の効果を損なうことはありません。最新の技術も取り入れられており、歯並びの調整や咬合の改善といった治療効果も高く、治療期間も従来の矯正装置とほぼ同じです。
審美ワイヤーのデメリット
1.コスト
審美ワイヤーは従来の金属ワイヤーに比べてコストが高めです。使用する素材やコーティング技術が高度なため、治療全体の費用が上がる傾向にあります。
2.コーティングの劣化
審美ワイヤーのコーティングは長期間使用するうちに劣化することがあります。特に、硬いものを食べたり、噛む力が強い場合、コーティングが剥がれてしまうリスクがあります。
まとめ
審美ワイヤーは、矯正治療中の見た目の問題を大きく解決します。従来の矯正装置と比べて、見た目が自然であるだけでなく、治療効果も同等に期待できます。費用やケアの面でのデメリットはありますが、治療中の見た目を気にされる患者さんにとっては、審美ワイヤーでの治療も選択肢のひとつに入るのではないでしょうか。