〜自分に合っているのはどちら?〜
矯正治療を検討される方の中で、多くの方が悩まれるのが「抜歯をするか、しないか」という点です。
「なるべく歯は抜きたくない…」「抜歯したほうがきれいに仕上がるって本当?」という声もよく聞かれます。
今回は、矯正治療における“抜歯”と“非抜歯”の違いについて、わかりやすくご紹介します。
抜歯と非抜歯、どちらが良いの?
矯正治療では、「抜歯矯正」と「非抜歯矯正」のいずれかを選択しますが、それぞれにメリット・デメリットがあります。
どちらが適しているかは、以下のような要素により異なります。
- 歯並びや噛み合わせの状態
- 顎の大きさや形
- 口元の印象(突出感など)
- 目指す仕上がり(見た目・機能)
◆ 抜歯矯正とは?
歯を数本抜いてスペースを確保し、きれいな歯並びと噛み合わせをつくる方法です。以下のようなケースに適しています。
- 顎の大きさに対して歯が並びきらない(叢生が強い)
- 出っ歯や口元の突出感を改善したい

- 極端な出っ歯・受け口など、大きな歯の移動が必要
- 噛み合わせのずれが大きい

【メリット】
- スペースがしっかり確保できる
歯をきれいに並べるための十分なスペースがつくれるため、叢生や出っ歯の改善に効果的です。 - 横顔が整いやすい
歯の位置を調整しやすく、Eライン(鼻と顎を結ぶライン)を整えた美しい横顔を目指せます。 - 仕上がりが安定しやすい
無理なく歯を動かせるため、治療後の後戻りが起こりにくくなります。 - 噛み合わせの調整がしやすい
歯を大きく動かせるので、複雑な噛み合わせにも対応可能です。 - 重度の症例にも対応できる
非抜歯では難しいケースでも治療できる場合があります。
【デメリット】
- 健康な歯を抜く必要がある(外科的処置)
- 治療期間がやや長くなることもある
- 抜歯直後は隙間が目立ち、見た目が気になる場合がある
- 歯の後退が強すぎると、口元が引っ込みすぎて老けた印象になることがある(稀)
◆ 非抜歯矯正とは?
歯を抜かずに、歯列の拡大や奥歯の移動などでスペースを確保して整える方法です。以下のような方に向いています。
- 顎にある程度のスペースがある
- 歯のガタつきが軽度
- 横顔の印象を大きく変えたくない
- 小児矯正や成長段階での治療
【メリット】
- 健康な歯を抜かずに済む
歯を保存できるため、安心感があります。 - 治療期間が短く済むことも
歯の移動距離が少なければ、治療期間が短縮される可能性があります。 - 抜歯に伴う痛みや腫れがない
外科的処置がないため、身体的負担が少なく済みます。
【デメリット】
- 適応できる症例が限られる
スペース不足や口元の突出感が強い場合は、十分な改善が難しいことも。

- 歯列の拡大による後戻りのリスク
無理に広げすぎると、後戻りしやすくなる場合があります。
◆ 抜歯か非抜歯か、どう決める?
「できれば抜きたくない」と思うのは自然なことです。
ですが、見た目と機能の両立を考えたとき、抜歯が最適な選択になることも少なくありません。
決定には、以下のような検査と総合的判断が必要です。
- レントゲン撮影
- 歯型採取
- かみ合わせの分析
- 顎や顔貌のバランス確認
- 患者さんのご希望
【抜歯が適している主なケース】
- 歯と顎の大きさのバランスが悪く、叢生が強い
- 口元が大きく前に出ている
- 歯を大きく動かす必要がある
- 噛み合わせのずれが大きい
- 親知らずの影響で歯並びが乱れている
【非抜歯で対応できる主なケース】
- 軽度のガタつき
- わずかな隙間を閉じたい場合
- 歯の移動が少なくて済む症例
- 元々口元が引っ込んでいる方
- 顎の拡大や歯の側面を削ってスペース確保が可能な場合
◆ 最後に
「抜歯」と聞くと不安に感じるかもしれませんが、大切なのはあなたにとってベストな仕上がりを目指すことです。
見た目・かみ合わせ・機能のバランスを整え、長く快適に過ごせる口元づくりを目指しましょう。
治療を始める前には、丁寧なカウンセリングと精密検査を受けて、納得のいく選択をすることが大切です。