【矯正の第一歩】ブラケット装着の流れやポイント、接着材の種類などをわかりやすく解説

矯正治療の「ワイヤー矯正」において、重要な役割を果たすのが歯の表面に取り付ける「ブラケット」です。今回は、このブラケットをどのように歯に接着するのか、その手順や患者さんにとって大切なポイントをわかりやすくご紹介します。

◆ブラケットとは?

ブラケットは、歯の表面に取り付ける小さな装置で、そこにワイヤーを通すことで歯を理想的な位置へと動かしていきます。

表側矯正では歯の前面に、裏側矯正(リンガル矯正)では歯の裏側に取りつけられます。

◆どうやってブラケットをくっつけるの?

ブラケットの接着には、歯科用の接着材(レジン系)を使います。流れとしては以下のようになります。

【ブラケット接着の流れ】

  1. 専用のブラシやペーストで歯の表面をきれいにします。
    歯の汚れをしっかり落とすことで、接着剤の効果が最大限発揮されます。
  1. 歯の表面を処理(エッチング)
     接着力を高めるために、酸処理を行って歯の表面を微細にざらざらにします。これにより接着力が高まります。
  2. 接着材を塗布してブラケットを装着
     位置を確認しながら、1本ずつ、歯の形に合わせて丁寧にブラケットを貼り付け接着します。
  1. 光照射で接着材を硬化
     専用の光を当てて、接着剤を固めます。
  1. ワイヤー装着へ

すべてのブラケットがついたら、ワイヤーを通して矯正治療がスタートします。

◆直接法と間接法の違い

ブラケットの接着には主に2つの方法があります。

  • 直接法
     歯1本1本にブラケットを直接つける方法。一般的で広く行われています。
  • 間接法(インダイレクトボンディング)
     事前に模型上でブラケットの位置を決定し、専用のトレーを使って一度に接着する方法。位置が正確で、接着時間も短縮されます。

◆ 主な接着剤の種類と特徴

「歯科用接着材(ボンディング材)」にはいくつか種類があり、それぞれに特徴があります。

① 光重合型

  • 特徴: 専用の光を当てて硬化させるタイプ
  • メリット: 操作時間に余裕があり、位置の微調整がしやすい
  • 使用例: 表側矯正・裏側矯正のどちらにも幅広く使用

② 化学重合型

  • 特徴: 2種類の成分を混ぜることで自然硬化するタイプ
  • メリット: 光を当てにくい部位(裏側など)にも使える
  • 注意点: 硬化が始まると操作時間が限られるため迅速な対応が必要

③ グラスアイオノマー系接着材(GIC)

  • 特徴: フッ素を放出する性質があり、むし歯予防効果がある
  • メリット: 歯質に優しく、再石灰化を助ける
  • デメリット: 接着力はレジン系に比べてやや劣る

◆接着後に気をつけること

  • 接着直後は硬いものをかむのは避けましょう
     ブラケットが外れやすくなる可能性があります。
  • 万が一ブラケットが外れてしまった場合は、すぐにご連絡ください。無理に戻そうとせず、そのままの状態で来院をお願いいたします。

【Q&A】ブラケットの接着

Q1:ブラケットって何ですか?

A:
ブラケットとは、矯正用ワイヤーを通すための小さな金属やセラミックの装置です。
歯の表面(表側や裏側)に一つずつ接着して、歯を少しずつ動かしていきます。

Q2:ブラケットはどうやって歯にくっつけるの?

A:
歯の表面をきれいにしたあと、専用の接着材を使って装着します。
位置を確認してから光を当てて固めるので、しっかり固定されます。
治療開始後にすぐワイヤーを通すことができるようになります。

Q3:接着にはどれくらい時間がかかりますか?

A:
上下の歯すべてに装着する場合、およそ60分〜90分ほどかかります。
歯の本数やブラケットの種類、装着方法(直接法・間接法)によっても変わります。

Q4:接着の方法に種類はありますか?

A:
はい、主に次の2つの方法があります。

  • 直接法(ダイレクトボンディング):歯に一本ずつブラケットをつける方法
  • 間接法(インダイレクトボンディング):あらかじめ模型上で装着位置を決め、専用トレーを使ってまとめて装着する方法

当院では症例に応じて最適な方法を選んでいます。

Q5:接着後に気をつけることはありますか?

A:
以下の点にご注意ください。

  • 接着直後は硬い食べ物(せんべい・ナッツなど)を避ける
  • ブラケットが外れた場合は無理に戻さず、すぐご連絡を
  • 歯磨きは丁寧に行い、装置の周りをきちんと清掃しましょう

Q6:ブラケットが外れたらどうすればいいですか?

A:
ご自身で無理に押し戻したりせず、そのままの状態でご連絡ください。
早めに対処することで、治療の遅れを防ぐことができます。

◆ 当院での使用について

ユアサ矯正歯科では、症例や装置の種類に応じて最適な接着材を選択しています。

  • 見た目の審美性
  • 装置の位置
  • お口の中の環境(唾液量やむし歯リスク)などを考慮して、安全かつ安定した接着を行っています。

◆まとめ

ブラケットの接着は、矯正治療を始めるための大切なステップです。正確な位置に接着されて初めて、歯を理想的に動かしていくことができます。ブラケットの安定性は、治療の精度やスムーズな進行に直結します。接着剤そのものは目立たない存在ですが、矯正治療を支える大事な材料のひとつです。使用する接着材も、患者さんの状況に合わせて細かく選ばれています。

治療に関することなど、ご不明な点があれば、お気軽にご相談ください。
📞011-855-4182
📍相談予約 https://ssl.haisha-yoyaku.jp/x0836927/login/serviceAppoint/index?SITE_CODE=hp

監修者:湯浅 壽大
歯科医師・歯学博士(D.D.S., Ph.D.)
日本矯正歯科学会認定医|北海道矯正歯科学会・日本舌側矯正歯科学会 会員

2002年に北海道医療大学歯学部を卒業後、同大学大学院歯学研究科で専門性を深める。
2013年に開業して以来、矯正治療を中心に、噛み合わせや見た目の調和を重視した歯科治療を提供。
学会や勉強会に積極的に参加し、最新の矯正技術を取り入れて治療にあたっています。

詳しいプロフィールはこちらhttps://yuasa-orthodontics.com/about