矯正コラム
子供のためのマウスピース矯正(インビザライン・ファースト)
マウスピースによる矯正治療の方法はいまや一般的な治療方法です。
従来のマルチブラケット装置といった歯に固定式の装置とともに治療方法の選択肢の一つとして存在感を示しています。しかし今まではマウスピース矯正は歯並びを改善するといった治療(永久歯列)においてのみの適応可能でしたが、アライン社のインビザラインでは混合歯列期にも適応が可能なインビザライン・ファーストといったものを展開しています。いわゆる、子供用のマウスピース矯正です。
インビザライン・ファーストの適応可能な年齢は一般的な混合歯列期の矯正治療とほぼ同様に6歳以上と考えられますが、基準は年齢ではなく口腔内の萌出状況を基準としています。具体的には、第一大臼歯を有し、切歯(乳歯もしくは永久歯)のすくなくとも2歯が2/3以上が萌出していること、また少なくとも3/4顎に乳歯(C,D,E)または未萌出の永久歯(3,4,5)を2歯以上有している必要があります。
またインビザライン・ファーストはすべての不正咬合に適応できるわけではなく向き不向きがありますので、矯正医による判断が必要となります。
インビザライン・ファーストで行うのは
・歯列を育成し永久歯が萌出できるスペースを獲得すること
・歯列の育成、拡大、空隙歯列/叢生の改善、前後的改善、審美的配列、前突、干渉の改善
となります。
骨格の前後的な不調和に関しては下顎が小さい、後退しているといった場合では下顎を前方に成長を誘導するような機能も組み込むことはできますが、それ以外の例えば骨格に原因がある反対咬合ではインビザライン・ファーストのみでの治療は向いていません。
これとは別に骨格に対するアプローチが必要となります。
治療に対する条件が一致してインビザライン・ファーストが適用可能であれば、患者さんにとっては次のようなメリットがあります。
・取り外しが可能なので好きなものを食べることができる、透明で目立ちにくい
・取り外し可能なのでいつでも簡単に歯のお手入れができ、口腔内の健康を保つことができる
・口腔内スキャナーを用いることで患者さんの負担も少なく治療を開始できる
デメリットは
・指示通りの着用(1日20時間以上)を確実にしなければ、確実な歯の移動を得られなかったり、アライナーの不適を生じさせて、治療の遅れを生じさせる可能性がある。
・骨格的な問題がある不正咬合においては向いていない場合がる。
・紛失、破損の可能性(その場合の再製作によるタイムロス)
このインビザライン・ファーストにもメリットとデメリットがあるように、従来の固定式の矯正治療にもメリット、デメリットがあります。ただ成長過程にある患者さんに向けた矯正治療の新たな選択として、適用可能であれば十分に検討してもいい矯正装置であると考えます。
ユアサ矯正歯科
湯浅 壽大 https://yuasa-orthodontics.com/clinic.html