子供用のマウスピース矯正は、透明な取り外し可能な装置(アライナー)を使って歯並びや顎の成長を整えていく矯正治療です。大人向けに使われるイメージが強いですが、最近では小児用に開発されたマウスピース型矯正装置も登場しており、成長期のお子さまにも適応できるようになっています。
当院ではインビザライン・ファーストを使用しています。これは「1期治療」と呼ばれる混合歯列期(6〜10歳)向けに開発された透明マウスピース型矯正装置です。乳歯と永久歯が混在する時期に、成長段階を活かして顎の拡大・歯並びの調整・将来の抜歯回避を目指せるのが特徴です。

特徴・メリット
・目立ちにくく自然な見た目:透明なので学校や習い事でも目立ちにくく、お子さまの心理的負担が少ない
・取り外し可能で清潔:食事時に外せるので虫歯リスクが低く、通常の歯みがきも可能
・痛みや違和感が少ない:薄く滑らかな素材で、ワイヤー矯正に比べて、装置による違和感や痛みが少ない傾向があります。
・1ステップで対応:従来の「顎を広げる→歯を整える」の2段階ではなく、マウスピース1種類で両方を同時に行える
・成長に合わせて対応可能:乳歯と永久歯が混在している「混合歯列期」に対応した設計で、顎の成長を利用しながら歯列を整えることができます。
注意点・デメリット
・自己管理が必須:使用時間を守らないと治療期間が長くなったり、効果不十分になることがあります。1日20時間以上の装着が推奨されており、自己管理(または親の管理)が必要です。子ども自身が装置を外してしまうと、治療効果が出にくくなります。
・適応外のケースがある:埋伏歯や重度の骨格的な不正(開咬・受け口など)、不正咬合の症状には不向きとされる場合があります。
・リスク:まれに歯肉退縮や咬合悪化、正中ずれ、過剰なIPR(歯間削合)などが起きる可能性があります。
・費用負担:保険適用外の自由診療であり、通常の子供の矯正治療と比べて、マウスピースで治療を行う場合にはコストアップの可能性も
・治療期間:通常〜18か月。状況により前後します
・経過観察期間:1期治療終了後、永久歯の萌出待ち。場合によっては2期治療(追加装置や装置継続)が必要となります 。
子供のマウスピース矯正(インビザライン・ファースト)は、成長期の子どもにとって自然でストレスの少ない矯正手段です。特に、目立たず、痛みが少なく、生活環境に適応しやすい点で、保護者からの支持も高いです。一方で、適応範囲の見極め、装着とケアの継続、そして費用面の明確な把握が重要です。必要な診査・説明を受けた上で、ご家庭のライフスタイルやお子さまの成長に適した治療選択をされることをおすすめします。