矯正治療を効率化【 カリエールモーション とは?】その適応や目的について

■カリエールモーション3Dってどんな装置?

カリエールモーション3Dは、臼歯部(犬歯・小臼歯・第一大臼歯)を「1つのユニット」としてまとめ、後方(遠心)へコントロールしながら移動させることで上下のかみ合わせを整える“前準備”用の矯正装置です。矯正治療の「スタート段階」で使用することで、出っ歯(上顎前突)や受け口(下顎前突)といったかみ合わせのズレを早い段階で整えます。

この装置を使うことで、後のワイヤーやマウスピースによる治療がよりスムーズに進むのが特徴です。

特徴

  • 側方歯群に細長いバー状アームを貼り付けるシンプルな構造。
  • 上下の臼歯間に 顎間ゴム(エラスティック) をかけて前後的関係を改善。
  • 3D(スリー・ディー)設計により、遠心移動+回転+傾斜コントロールを意図した形状。
  • メタルタイプに加えて クリア(透明)タイプ もあり審美的配慮が可能。

どんな人に使うの?

以下のような方に適しています:

  • 出っ歯気味で、上の前歯が出ている方
  • 受け口(反対咬合)の傾向がある方
  • 抜歯をせずに矯正治療を行いたい方
  • できるだけ目立ちにくい装置で治療を始めたい方

■治療の基本的な流れ

症例により異なりますが、おおよそのステップは以下です。

Step 0:精密検査・診断

レントゲン(セファロ)、口腔内スキャン、写真、咬合分析などを行い、前後的ズレ量・上下顎の成長バランス・抜歯要否を評価します。

Step 1:カリエールモーション3D装着

対象顎(上顎または下顎、場合により両顎)に装置を接着。装着直後から顎間ゴムを使用するケースが一般的です。

Step 2:顎間ゴムの使用

患者さん自身が毎日ゴムをかけることで力が発揮されます。使用時間が短いと予定どおり動きません。協力度が結果と期間に直結します。

Step 3:経過チェック(4〜6週間ごと目安)

移動量、装置のゆるみ、歯肉の状態、ゴム使用状況を確認。必要に応じてゴムサイズ変更や追加指示を行います。

Step 4:装置除去後 → 本格矯正へ

臼歯の関係が整ったら、

マルチブラケット装置(表側/裏側)やマウスピース型矯正装置(インビザラインなど) に移行し、前歯配列・仕上げ咬合を整えます。

■使用期間の目安

平均的には3〜5か月程度で目的の前後関係に近づくことが多いですが、以下の要因で前後します。

  • Class II / III のズレ量
  • 成長期か成人か(骨の反応性)
  • 協力度(顎間ゴムの使用時間・装着精度)
  • 骨格の制約・歯列弓形態
  • 歯の欠損の有無

■痛み・違和感について

装着直後〜数日の間は、

  • 奥歯周囲の軽い圧迫感・引っ張られる感覚
  • 顎間ゴム装着部の違和感
  • 舌や頬粘膜に当たる感じ が出ることがありますが、数日〜1週間程度で慣れる方が多いです。

■お手入れ・注意点

基本ケア

  • 毎日の歯みがきに加えて、装置周囲を丁寧に清掃
  • フロスや歯間ブラシを使用(可能な範囲で)
  • 補助的にマウスウォッシュの使用も

ゴムの取り扱い

  • 指示された使用方法を守る
  • なくなりそうになったら早めに追加のゴムを受け取る

■よくある質問(FAQ)

Q1. カリエールだけで治療は終わりますか?
多くの場合、その後にワイヤーやマウスピースによる全体治療が必要です。

Q2. 食事中は外しますか?
装置自体は固定です。顎間ゴムは食事・歯みがき時に外してください。食後は速やかに再装着をお願いしています。

Q3. スポーツや管楽器演奏は?
多くは慣れれば可能ですが、事前にご相談ください。

Q4. 子どもと大人、どちらに向いていますか?
どちらにも使用しますが、成長期の骨反応を活かせるタイミングでの使用が特に効果的な場合があります。

まとめ

カリエールモーション3Dは、矯正治療のスタートをより効率的に、より自然に進めるための新しい第一歩となる装置です。「できるだけ短期間で治療を進めたい」「見た目も大事にしたい」「抜歯は避けたい」という方にとって、非常に有効な選択肢となります。当院では、お一人おひとりのかみ合わせや骨格をしっかりと診断したうえで、最適な治療プランをご提案しています。
カリエールモーション3Dが気になる方は、ぜひお気軽にご相談ください。

📞011-855-4182
📍相談予約 https://ssl.haisha-yoyaku.jp/x0836927/login/serviceAppoint/index?SITE_CODE=hp

監修者:湯浅 壽大
歯科医師・歯学博士(D.D.S., Ph.D.)
日本矯正歯科学会認定医|北海道矯正歯科学会・日本舌側矯正歯科学会 会員

2002年に北海道医療大学歯学部を卒業後、同大学大学院歯学研究科で専門性を深める。
2013年に開業して以来、矯正治療を中心に、噛み合わせや見た目の調和を重視した歯科治療を提供。
学会や勉強会に積極的に参加し、最新の矯正技術を取り入れて治療にあたっています。

詳しいプロフィールはこちらhttps://yuasa-orthodontics.com/about

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