【お口ポカンに要注意】口呼吸の影響~引き起こす不正咬合のリスク~

「口がいつも開いている」「寝ているときに口呼吸している」そんなお悩みはありませんか?実はこの“口呼吸”が、歯並びやかみ合わせの乱れの原因となることがあります。今回は、口呼吸がもたらす不正咬合との関係について、矯正歯科の立場からご説明します。

口呼吸とは?

通常、人は鼻で呼吸をします。しかし、何らかの理由で口が開いてしまい、無意識のうちに口から呼吸をしている状態を「口呼吸」と呼びます。
鼻づまりやアレルギー、癖、筋力の低下などが原因となることが多いです。

  • アレルギー性鼻炎や扁桃肥大
  • 舌や口周りの筋力の低下
  • 姿勢や癖(指しゃぶりなど)

などが挙げられます。

口呼吸が引き起こすお口の問題

口呼吸は単なる習慣ではなく、以下のようなさまざまな悪影響をお口の中に及ぼします。

  • 唇や舌の筋力低下
  • 前歯の突出(出っ歯)や開咬(前歯が閉じない)
  • 歯並びの乱れ
  • 虫歯や歯肉炎のリスク上昇
  • 顔貌の変化(面長、アデノイド顔貌)

口呼吸がもたらす不正咬合とは?

口呼吸が続くと、お口や顔のまわりの筋肉バランスが崩れ、顎の成長や歯並びに悪影響を与えることがあります。具体的には:

  • 上顎前突(出っ歯):口を閉じる力が弱く、前歯が前方に傾きやすくなる
  • 開咬(前歯が閉じない):舌が前に出る癖がつき、上下の前歯が噛み合わなくなる
  • 叢生(ガタガタの歯並び):正しい舌の位置が保てず、歯列の拡がりが足りなくなる
  • 過蓋咬合(深いかみ合わせ)や交叉咬合:筋機能のアンバランスによって上下の歯のかみ合わせがずれることも

これらの不正咬合は、見た目だけでなく、発音、咀嚼(そしゃく)、全身の姿勢バランスにも影響します。

矯正治療との関係

矯正治療では、単に歯並びを整えるだけでなく、「なぜ歯並びが乱れたのか?」という原因にも目を向けることが大切です。

実は口呼吸は、歯列不正の原因や、治療後の後戻りのリスクとも深く関係しています。
そのため、矯正治療と並行して呼吸の改善や口腔周囲筋のトレーニング(MFT:口腔筋機能療法)を行うことが重要です。

原因へのアプローチ

歯並びだけを整えても、口呼吸という“原因”を改善しなければ、後戻りや新たな不正咬合が起きることもあります。
そのため、矯正治療では必用に応じて以下のような「原因療法」に取り組むことも大切です。

  • 口腔筋機能療法(MFT)による舌・唇・呼吸のトレーニング
  • 鼻呼吸の指導(鼻うがいや口閉じトレーニングなど)
  • 必要に応じた耳鼻科との連携
  • 成長段階に応じた適切な矯正治療の選択(顎の成長誘導など)

無意識の口呼吸が気になる方は、早めにご相談いただくことで将来的な歯並びトラブルを防ぐことができます。

【Q&A】口呼吸と不正咬合

Q1. 口呼吸ってどうしていけないのですか?

A. 鼻呼吸ができていないと、口周りの筋肉バランスが崩れ、歯並びや顎の発育に悪影響を与えるからです。
口呼吸は、

  • 唇が閉じにくくなる
  • 舌の位置が下がる
  • 口の中が乾きやすくなる
    といった影響をもたらし、不正咬合(出っ歯・開咬・ガタガタの歯並びなど)を引き起こしやすくなります。

Q2. どんな不正咬合と関係がありますか?

A. とくに「出っ歯」「開咬」「叢生」と関連があります。
常に口が開いていると唇の力がかからず、前歯が前に出やすくなります。また、舌が前に出る癖がつくと、前歯が上下で噛み合わず「開咬」になることがあります。

Q3. 子どもの口呼吸に気づいたら、まず何をすればいいですか?

A. できるだけ早く矯正専門医に相談することをおすすめします。
まずは口呼吸が「一時的なもの」なのか「習慣化しているもの」かを見極める必要があります。成長期に早めの対応を行うことで、不正咬合を防いだり、治療の負担を軽くしたりすることができます。

Q4. 矯正治療をすれば口呼吸も治りますか?

A. 歯並びを整えるだけでは口呼吸は改善しないことがあります。
そのため、

  • 口腔筋機能療法(MFT)
  • 鼻呼吸へのトレーニング
  • 耳鼻科との連携(アレルギーや鼻づまりの精査)
    など、多角的なアプローチが必要になりことがあります。

Q5. 大人でも口呼吸は治せますか?

A. はい、可能です。ただし長年の癖になっている場合は意識的な改善が必要です。
MFTや生活習慣の見直し、矯正治療との併用により、成人でも改善を目指すことができます。

■ まとめ:口呼吸に気づいたら早めのご相談を

口呼吸は、将来の歯並びや顔立ちを左右する要因になりえるため、非常に大切な問題です。
矯正治療と一緒に原因を根本から見直すことで、より美しく、より安定した仕上がりを目指すことができます。

お子さまの癖やご自身の呼吸について気になることがありましたら、ぜひお気軽にユアサ矯正歯科までご相談ください。

📞011-855-4182
📍相談予約 https://ssl.haisha-yoyaku.jp/x0836927/login/serviceAppoint/index?SITE_CODE=hp

監修者:湯浅 壽大
歯科医師・歯学博士(D.D.S., Ph.D.)
日本矯正歯科学会認定医|北海道矯正歯科学会・日本舌側矯正歯科学会 会員

2002年に北海道医療大学歯学部を卒業後、同大学大学院歯学研究科で専門性を深める。
2013年に開業して以来、矯正治療を中心に、噛み合わせや見た目の調和を重視した歯科治療を提供。
学会や勉強会に積極的に参加し、最新の矯正技術を取り入れて治療にあたっています。

詳しいプロフィールはこちらhttps://yuasa-orthodontics.com/about