■ 顎変形症とは?
顎変形症(がくへんけいしょう)とは、上下のあごの大きさや位置に著しいズレがあることで、かみ合わせや見た目に問題が生じる状態を指します。代表的なものに「受け口(下顎前突)」「出っ歯(上顎前突)」「開咬(前歯が咬み合わない)」などがあります。ただの歯並びの問題とは異なり、「骨格的な問題」である点が特徴です。
■ なぜ治療が必要なの?
かみ合わせのズレは、見た目の違和感だけでなく、以下のような機能的な問題を引き起こすことがあります。
- 食べ物がうまく噛めない
- 発音が不明瞭になる
- 顎関節症のリスクが高まる
- 顔の左右差やゆがみが強くなる
■ 顎変形症の主な適応例
1. 下顎前突(受け口)
下あごが前に出ていて、上の前歯より下の前歯が前方にある状態。
発音障害や咀嚼障害の原因となることがあります。

2. 上顎前突(出っ歯)
上あごが大きく前方に出ている状態。
前歯が閉じず口が開きやすくなったり、外傷を受けやすくなったりします。
3. 開咬(かいこう)
上下の前歯が咬み合わず、常に隙間が空いている状態。
発音障害・咀嚼不良・舌癖との関連が強く、機能障害が起こりやすいです。
4. 過蓋咬合(かがいこうごう)
上の前歯が下の前歯を深く覆い、下の前歯がほとんど見えない状態。
あごの動きが制限され、顎関節症の原因になることがあります。
5. 顎の左右非対称(顔のゆがみ)
左右の顎の大きさ・長さ・位置が異なり、顔が左右にゆがんでいる状態。
かみ合わせが左右で異なり、筋肉や関節に偏った負担がかかります。
6. 顎骨の垂直的異常(長すぎる/短すぎる)
- ガミースマイル(上顎過成長)
- 下顔面の短さ(下顎の発育不足)なども含まれます。

■ 顎変形症の判断
矯正歯科では、次のようなステップで「顎変形症に該当するかどうか」を診断します。
① 初診・問診
・かみ合わせの不具合(前歯が当たらない、左右で噛みづらい)
・見た目の悩み(顎のズレ、口元の突出など)を確認
② 顔貌・口腔内の視診
・正面や横顔からのバランスや左右差を評価
・顎の動きやかみ合わせの状態をチェック
③ レントゲン・CT撮影など(セファログラム)
・頭部X線規格写真で顎の大きさやズレを正確に分析
・骨格的な問題を数値で評価する重要な検査
④ 咬合機能検査
・咀嚼力や発音、顎の可動域を評価
・機能面に支障があるか確認
⑤ 顎口腔機能診断施設での総合診断
・厚生労働省認定の施設での診断により、保険適用かどうかを最終判断します
※当院(ユアサ矯正歯科)もこの認定施設です
■ 治療の流れ
顎変形症の治療では、「外科的矯正治療(外科手術+矯正治療)」が基本となります。以下のような流れで進みます。
- 術前矯正(1〜2年)
手術に備えて、歯を理想的な位置に並べます。 - 外科手術(入院1〜2週間)
口腔外科によって顎の骨の位置を調整します。全身麻酔で行います。 - 術後矯正(約半年〜1年)
手術後に仕上げのかみ合わせ調整を行います。 - 保定(リテーナー)
治療後の歯並びを安定させるため、保定装置を使用します。
■ 保険適用になる?
顎変形症は、「顎口腔機能診断施設」に認定された医療機関であれば、保険診療が適用されます。ユアサ矯正歯科はその認定施設ですので、条件を満たせば保険での治療が可能です。
【保険適用の条件】
保険診療が可能になるには、以下の条件を満たす必要があります:
- 厚生労働省認定の「顎口腔機能診断施設」で診断を受けること
- 外科手術が必要と判断される明確な骨格的異常があること
- 検査や診断の結果、機能的な障害(咀嚼・発音・顎運動など)が認められること
【Q&A】顎変形症
Q1. 顎変形症(がくへんけいしょう)とは何ですか?
A. 上下のあごの骨にズレや大きさの不調和があることで、見た目やかみ合わせに問題が出ている状態を指します。代表的な例には「受け口(下顎前突)」「出っ歯(上顎前突)」「開咬(前歯が咬み合わない)」などがあります。
Q2. 顎変形症はどうして治療が必要なのですか?
A. 放置すると以下のような問題が起こる可能性があります。
- 食事がしにくい、うまく噛めない
- 発音が不明瞭になる
- 顎関節に負担がかかり、痛みが出ることがある
- 顔のゆがみやバランスの悪さが目立つ
Q3. 矯正歯科ではどのように治療しますか?
A. 顎変形症の治療は「外科的矯正治療(手術+矯正)」が基本です。
- 術前矯正(1~2年)…手術前に歯並びを整えます
- 外科手術…入院し、顎の骨を調整します(口腔外科で実施)
- 術後矯正(約半年~1年)…手術後のかみ合わせを微調整
- 保定期間…後戻り防止のため保定装置(リテーナー)を使用
Q4. 手術は痛いですか?入院が必要ですか?
A. 手術は全身麻酔で行われるため、痛みを感じることはありません。通常は1~2週間程度の入院が必要で、その後の経過観察も行われます。
Q5. 保険は使えますか?
A. 顎変形症の外科的矯正治療は、厚生労働省の認定を受けた「顎口腔機能診断施設」で診断・治療を行うことで、健康保険が適用されます。当院(ユアサ矯正歯科)もその認定施設のひとつです。
Q6. どんな人が治療の対象になりますか?
A. 以下のような方は顎変形症の可能性があるため、専門医による診断をおすすめします。
- 見た目で上下のあごのズレが気になる
- かみ合わせが悪く、前歯が咬み合わない
- 噛む・話すことで困っている
- 他院で「手術が必要」と言われた
■ こんな方はご相談ください
- 歯並びだけでなく、顎のズレや顔のバランスが気になる
- 他院で「手術が必要」と言われた
- 保険が使えるか知りたい
■ 顎変形症と判断されたら?
外科手術を含む「外科的矯正治療」が必要となるケースが多く、術前術後を含めて矯正治療を計画的に行います。保険適用となる場合もあるため、まずは正確な診断が大切です。
■ まとめ
単なる歯並びの問題ではなく、「骨格のずれによってかみ合わせや日常生活に支障があるかどうか」が、顎変形症の適応かどうかの判断基準になります。また顎変形症の治療は、見た目だけでなく「食べる・話す」といった基本的な機能を整える大切な医療です。長い治療期間を伴いますが、しっかりとしたサポート体制のもとで進めていけば、安心して取り組むことができます。気になる方は、まずはお気軽にご相談ください。
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📍相談予約 https://ssl.haisha-yoyaku.jp/x0836927/login/serviceAppoint/index?SITE_CODE=hp
監修者:湯浅 壽大
歯科医師・歯学博士(D.D.S., Ph.D.)
日本矯正歯科学会認定医|北海道矯正歯科学会・日本舌側矯正歯科学会 会員
2002年に北海道医療大学歯学部を卒業後、同大学大学院歯学研究科で専門性を深める。
2013年に開業して以来、矯正治療を中心に、噛み合わせや見た目の調和を重視した歯科治療を提供。
学会や勉強会に積極的に参加し、最新の矯正技術も取り入れて治療にあたっています。
詳しいプロフィールはこちらhttps://yuasa-orthodontics.com/about