院長コラム

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8.ムーシールドによる乳歯列期の反対咬合治療

こんにちは。院長の湯浅です。

以前にうけ口(反対咬合)のお話しをさせていただきましたが、今回は乳歯列期からうけ口の治療が可能な装置、ムーシールドについて説明していこうと思います。

 

検診などで乳歯列期のお子さんの親御さんから、質問を受けることがあります。

「前歯が反対になっていて、気になっています。矯正が必要ですか?必要ならいつ頃から治療可能ですか?自然には治らないのでしょうか?」といった内容です。自然治癒と矯正治療の必要性についてですが、乳歯列初期から末期まで反対咬合だった場合の自然治癒率は非常に低いという報告がなされています。そして矯正治療も高い確率で必要という場合が多いです。ではいつから治療を開始したらいいのでしょうか。反対咬合の場合、成長の因子も大きく関与していますので、なるべく早期から治療を開始して、前歯が反対という適切な成長を妨げる因子を取り除いていくことが重要です。

 

反対咬合の治療で乳歯列期から使用できる矯正装置がムーシールド(機能的顎矯正装置)です。これは柳沢宗光先生が考案したもので、早期からお口の周りの筋肉を訓練して反対咬合を治していきましょう、といった考えの装置です。

反対咬合の原因としてお口の周りの筋肉(上唇、下唇、舌など)の不調和が挙げられます。

 

この装置の作用は3つあり

 

1:上の前歯へかかる上唇の圧を排除する

上唇の圧が強いと、上の前歯が内側に入ったり、また上顎の前方の成長を抑制するといったことを生じさせます。

 

2:唇を閉じたときにオトガイに緊張感をもたせる

オトガイの緊張感が弱いと、下顎の前方向の成長を許容してしまいます。

 

3:舌の位置を高い位置で機能するようにする

舌が低い位置で機能すると、物を飲み込んだりする際に常に下顎を前方向へ押し出すと考えられています。

 

 

これら3つの作用によってお口の周りの筋肉を調和させ、反対咬合を改善していきます。

使用方法は就寝時にお口の中に入れるだけ(慣れるまでは練習が必要ですが、、)です。

 

ムーシールドの使用を開始するに当たっては考慮するべきことがあります。

反対咬合という不正咬合は、原因が骨格にあるもの(骨格性反対咬合)と歯によるもの(歯性反対咬合)に分類でき、診査の時点で原因がどちらであるか判断することが、ムーシールドの治療効果の成否に関わるため非常に重要になります。特に骨格が原因による場合は遺伝的要素が強く、成長終了までの長期的な観察が必要です。場合によっては、たとえムーシールドによって改善した後でも下あごの成長次第では再度かみ合わせが浅く、もしくは反対になり矯正治療(Ⅰ期治療やⅡ期治療)が必要になる可能性について考慮しておく必要があります。

 

しかしながら、骨格性の場合であったとしても、反対咬合の治療では成長を妨げるような要素を早期から取り除くことは非常に重要ですので、早期から少ない負担で治療が開始できるムーシールドは非常に有効だと思います。

 

もし自分のお子さんが反対咬合で気になさっているなら、ムーシールドで早期から治療する方法もありますので、まずは矯正相談をうけてみてはいかがでしょうか?